メモリー効果と呼ばれる現象について、またその効果が最新のリチウムイオンバッテリーでも発生するかどうかについてご説明します。
13.06.2024
基本的にどのバッテリーも「メモリー効果」と呼ばれる現象の影響を受け、早すぎるタイミングで充電すると、電力容量が失われてしまうとよく言われています。バッテリーの出力が下がると、バッテリー駆動のツールの使用時間も自動的に短くなります。その結果、 実際にはバッテリーの充電頻度を次第に増やさなければならなくなります。最悪の場合、想定されている時期より早い段階で使用できなくなります。しかし、本当にすべてのバッテリーがこの容量損失の影響を受けるかと言うと、 実はそうではありません。最新のリチウムイオンバッテリーでは、メモリー効果はもはや検出できません。そのためユーザーにとっては、充電状態に関係なくバッテリーをいつでも充電できるという大きなメリットがあります。
元々バッテリー神話として知られるメモリー効果ですが、過去には実際に非常に深刻な問題とされていました。NASAのエンジニアがメモリー効果を発見したのは、1960年代にさかのぼります。エンジニア達は、衛星に搭載されたバッテリーの容量が、時間の経過と共に失われていくことに気が付いたのです。具体的に言うと、部分放電を何度も繰り返した後のバッテリーからは、直前に充電された量の電力しか供給されなくなっていたのです。
つまりメモリー効果とは、部分放電の繰り返しによって蓄電能力が悪化することを意味します。この場合、バッテリーは部分放電された状態を「記憶」し、その後はこの「記憶された」量の電力しか使用できなくなってしまいます。例えば、ある容器を想像してみてください。そこに仕切りを入れると、使用できるスペースが少なくなってしまうのと同じことです。メモリー効果は、電気の観点から見ると電圧降下として現れます。電圧降下によって電圧が低下し、使用する機器の必要最低値を下回ると、バッテリーは使用できなくなります。
メモリー効果は、主にワイヤレスツールによく使われているニッケルカドミウムバッテリー(NiCd)で発生します。この効果は、カドミウム側のカソード(負極)で結晶が形成されることによって引き起こされます。バッテリーが完全に放電されないと、非放電部分での結晶形成が助長されます。この場合、結晶のサイズが大きくなるにつれて電圧が低下しますが、その理由は、素材の電導性に悪影響が及ぶためです。また、ニッケルカドミウムバッテリーほどではありませんが、ニッケル水素バッテリー(NiMH)でも同様の効果が見受けられます。ただし、その場合はレイジーバッテリー効果と呼ばれます。一般的なAAやAAAなどのサイズに対応するバッテリーは、多くの場合依然としてニッケル水素バッテリーです。これは、小型電気機器に固定式に取り付けられているバッテリーにも当てはまります。それ以外では、NiMHバッテリーもNiCdバッテリーも今日ではほとんど使用されていません。
最新の研究成果によると、メモリー効果は2つのプロセスに基づいています。
NiCdバッテリーを充電すると、カドミウムの微小結晶が形成されます。バッテリーが「複数回の充電プロセスにわたって一定の」度合いまでしか放電されないと、非放電部分の微小結晶からより大きい結晶が形成されやすくなります。質量が同じであれば、大きい結晶の方が結晶が小さい場合よりも総表面積が小さくなるため、放電時の反応が悪くなり、 電圧が低下します。
やや古い充電技術には、バッテリー残量を容量として考慮に入れることはできません。指定時間にわたって充電するため、部分的にしか放電していないバッテリーが過充電されてしまいます。これにより、Cd電極での再結晶化と呼ばれる現象が起こります。イオン化列におけるカドミウムの順位に応じて、再結晶化が発生すると出力電圧の低下につながり、それに伴って容量が減少します。
STIHLでは最新のリチウムイオンバッテリーのみを使用しています。これらは、以前のバッテリーよりも軽量で高出力であるだけでなく、上記のようなメモリー効果が発生することはほとんどありません。そのため、部分放電を繰り返しても大きな電圧降下は見られません。これは、バッテリーセルに使用されている材料と最新の技術によって保証されています。STIHLリチウムイオンバッテリーは、いつ充電しても問題ありません。従って、常に完全に放電するまでバッテリーを使用し続ける必要はありません。作業休憩中に短時間充電しても、全く問題ないのでご安心ください。
バッテリーでのメモリー効果とは?
以前よく使用されていたニッケルカドミウムバッテリー(NiCd)またはニッケル水素バッテリー(NiMH)で部分放電を頻繁に繰り返すと、容量が失われてしまいます。この効果をメモリー効果と呼びます。部分放電が頻繁に繰り返されると、バッテリーは過去数回の充電プロセスで充電した電力量を「記憶」し、本来利用可能な容量ではなく、この「記憶」された電力量のみを充電します。その結果、早い時点で電圧降下に至り、長い目で見るとバッテリーが使用不可能になります。
メモリー効果とは、ニッケルカドミウムバッテリーを早すぎるタイミングで充電したことにより、バッテリーの容量が失われることを指します。この種のバッテリーは、充電する前に完全に放電させないと、過去数回の充電プロセスで充電した電力量を記憶してしまい、その電力量しか充電しなくなります。このためバッテリーはすぐに容量を失い、使用できなくなります。これに対して、STIHL製品のリチウムイオンバッテリーにはメモリー効果はありません。
バッテリーでメモリー効果が発生するかどうかは、使用される技術に左右されます。例えば、以前使用されていたニッケルカドミウムバッテリーやニッケル水素バッテリーなどでは、メモリー効果が発生します。従って、この種のバッテリーは常に完全に放電させてから再び充電する必要があります。これに対して、STIHLが使用しているリチウムイオンバッテリーにはメモリー効果はありません。
いいえ、リチウムイオンバッテリーにはメモリー効果はありません。この種のバッテリーはいつ充電しても問題はなく、バッテリーの容量が失われることもありません。STIHLでは最先端の技術を採用したリチウムイオンバッテリーのみを使用しています。